Suno AI(スノ/スーノ/スノー エーアイ)はWebブラウザおよびDisocord上で利用可能な音楽生成サービスであり、例えば以下のような歌声入りの楽曲などを無料で生成させることが出来ます。
Suno AIにはオープンベータ時代から存在しているDiscord版と後発のWebブラウザ版の2種類がありますが、現在はWebブラウザ版の方が機能も操作感も優れているのでこのブログでもWebブラウザ版の使い方について整理していきます。
運営組織について
Suno AIはアメリカ・マサチューセッツ州ケンブリッジの「Suno, Inc.」により運営されています。
上の画像はSuno AIのトップページから「About」をクリックした先の下部に掲載されているものですが、自分たちのことを「ミュージシャンと人工知能の専門家(musicians and artificial intelligence experts)」と呼称しており、自信と技術力の高さが伺えます。
いずれにしてもSuno, Inc.は2022年に設立された比較的新しい企業であり、これからの活躍にも期待したいところです。
アカウント登録方法
Suno AIの利用にはアカウントの登録が必須です。Webサイトへのアクセス方法から順に説明していきましょう。
- STEP1/3任意のWebブラウザからSuno AIにアクセスする
任意のWebブラウザからhttps://suno.com/にアクセスし、画面左下の「Sign In」をクリックします。
- STEP2/3
- FINISHログインできていることを確認する
トップページに遷移後、画面左下の「Sign In」が消えて代わりにアカウントのアイコンが表示されていること、「Subscribe」の上に手持ちのクレジットが表示されていることを確認できればログインは正常に完了しています。
初回ログイン直後は無料プランに属していますが毎日使い切りの50クレジットが補充されます。使い切りなので溜め込むことは出来ません。
生成1曲につき5クレジットを消費することから、10曲は毎日無料で生成可能ということになります。
利用料金について
基本的な機能は無料で利用できますが「より多くの曲を短時間で生成したい」「商用利用したい」となった場合にはサブスクリプション登録が必要です。
メニューの「Subscribe」をクリックすることで以下のようなラインナップが表示され登録が可能です。
サブスクリプション登録により解禁される項目は以下の通りで、Pro PlanとPremire Planの違いはクレジット量のみです。
- 入手できるクレジットが大幅に増加
- 商用利用可能
- クレジットの追加購入(Extra Credits)が可能
- 優先キュー(曲生成時の待機時間減少)
- 生成キューに10曲まで予約可能
- 最新機能へのアーリーアクセスが可能
Suno AIの使い方
Suno AIで出来ることを大まかに整理すると「音楽を生成する」と「生成した音楽を編集する」に分けることが出来ます。
ここでは上記2種類の機能について解説をしていきましょう。
テキストから音楽を生成する
画面左側のメニューにある「Create」から音楽を生成することが出来ます。
生成モードには通常とカスタムの2種類があり目的に応じて使い分けることが可能ですが、設定出来る内容は大きく異なります。順番に説明していきましょう。
- 1/2生成したい曲の説明を入力する
用意された入力項目に必要な情報を入力します。各モードにおける入力項目の詳細は以下の通り。
モード共通で設定可能な項目
項目名 説明 Upload Audio 手持ちの音楽ファイルやその場で録音したデータをアップロードする機能
アップロードした音楽はLibraryに保存され、そこからExtendすることで曲の続きを作ることが可能
アップロード可能な音声ファイルは6〜120秒以内の尺であり、Sunoで生成されていないものである必要がある。
活用が難しい項目だが好みのリズム・ビートを録音するなりツールで作成するなりしてメロディ部分をSunoで生成する…というのがいい感じか?Version Suno AIのバージョンを指定する
基本的に最新版(2024年9月時点ではv3.5)を選択すると良いInstrumental 有効にすると歌声無しの音楽(インストロメンタル)が生成される 通常モードで設定可能な項目
項目名 説明 Song description 生成したい曲の説明を入力する。日本語と英語それぞれ対応していることを確認済
音楽のスタイルとジャンルについて説明するものとなっており楽器の指定などが出来るわけではない
入力例:情熱的なロックNeed ideas? あらかじめSuno側が用意している質問に回答することで、回答内容に沿った曲を生成してくれる カスタムモードで設定可能な項目
項目名 説明 Lyrics 歌詞を入力する。
主要な言語は大体カバーできており複数の言語を合わせることも可能。
適当に入力してもいい感じの曲が生成されるがメタタグを使うことで曲調をある程度コントロールする事もできる(後述)
ちなみに「Write about」をクリックすると入力済みの歌詞を解釈していい感じに整えてくれる。入力欄が空白の場合は「Surprise Me」と表記が変わり完全におまかせ。Style of Music 曲調。
「pop」や「rock」などのジャンルを入れたり「drums」や「guitar」などの楽器を入れたりすると曲に反映される。
複数のキーワードを組み合わせることも可能であり、例えば私の場合は「fast aggressive symphonic metal, strings and drums, chorus group, combat style」などを入力しがち。キーワードを分ける際はカンマ+半角スペースで。
ちなみに「Exclude Style」を有効にすることで逆に反映させたくない項目を入力することが出来る。Title 曲名。生成後でも変更できる箇所なのでなんでも良いです - FINISH「♫Create」する
入力後、画面下部の「♫Create」ボタンをクリックすることで10クレジットを消費し2曲生成されます。
ちなみにこのパッパラパーなSong descriptionで生成された曲はこんな感じです。
テンションMAX by @genaisum | Sunoパーティー ダンス エレクトロ song. Listen and make your own with Suno.
生成した曲はCreate画面やLibrary画面から確認することが出来ますが、ここから曲の編集やダウンロードなどを行うことが可能です。
写真や動画から音楽を生成する
iOS版Sunoでのみ利用可能な機能で、スマホで撮影した写真や動画などを選択し簡単な説明を入力することで30秒の音楽が生成されます。
生成された曲はPC版Sunoでも視聴やダウンロードが可能ですが、後述するExtendやReuse Promptなど「Create」に含まれる機能はいずれも利用できません。
一つの完成された曲を作るというよりは、シーンに合う音楽をAIが作るという事自体を楽しむのがメインなのかもしれませんね。
音楽の続きを生成する
Extendをクリックすることで対象音楽の続きを生成(延長)することが可能です。
任意のバージョンや歌詞やスタイルなどを再度入力して「♫ Extend」をクリックすると10クレジットを消費し2曲生成されます。
また、Extendで生成した曲は右メニューの「︙」にGet Whole Songといった項目が追加され、クリックすることで曲が結合されます。その際、結合後の曲には「Part ◯」ではなく「Full Song」の文字が入ります。
なお、Extendで生成される曲は「Extend from」で指定した秒数の続きからとなっており、デフォルトでは元となる曲の最後が設定されていますが例えば「01:00」と設定すると1分後からの続きとなります。
ちなみに追加される内容はあくまでも元の曲をベースとしたものとなっており、Extendでジャンルや曲調を大きく変えることは出来ません。
生成情報を再利用して新たな音楽を生成する
Reuse Promptをクリックすることで元の曲に入力していた各種項目をコピーして新たな曲を生成することができます。
曲の続きを作るものでは無く、設定項目を使い回すことが出来ますよ…というだけの機能ではありますが、地味に便利だったりします。
曲調を維持したまま別の曲を生成する
Cover Songをクリックすると曲調を維持しつつ歌詞やスタイルを変えた曲を生成することができます(Pro Plan以上限定)
ちょっとした歌詞の修正などであればExtendでも出来ないことはないですが、声質やジャンルなどを大胆に変えたい場合はCover Songに軍配が上がります。
ということでStyle of musicと一部歌詞を変えたパリピソングが以下。
ペルソナ(疑似アーティスト)を作成する
作成済みの任意の曲を選択しMake Personaをクリックすると、元となる楽曲のボーカル、スタイル、雰囲気などを踏襲したペルソナ(擬似的なアーティスト)を作成することが出来ます(Pro Plan以上限定)
作成したペルソナは曲の作成時に選択することが可能であり、作成された曲にはペルソナのアイコンが追加されます。
また、ペルソナは公開(Public)/非公開(Private)を切り替えることも可能で、公開すると自身のプロフィールに表示されるほか、Pro Plan以上のユーザーであれば公開されているペルソナを使って曲を生成することも出来ます。
音楽をボーカルとインストに分ける
Get Stemsをクリックすることで音楽をボーカルと楽曲(インスト)に分割してそれぞれ再生成することが出来ます(Pro Plan以上限定)
クレジットの消費はないため手軽に実行することが可能ですが品質・音質はそれほどでもなく、ノイズ混じりのVocalや薄っすらと声が聞こえるInstrumentalが出来上がります。
使い道は…ボーカルであれば音声データを取り込んでリップシンクが可能なツールに使うとか?インストであれば適当な音楽編集ツールを使って声を削除するなりしてカラオケ用に使うとか……ですかね?
タイトルやカバー画像などを変更する
Song Detailsをクリックすると生成した曲のタイトル、カバー画像、表示される歌詞を変更することができます。
クレジットの消費無しで何度でも変更が可能であるほか、カバー画像については手持ちの画像からアップロードするか、あるいはSuno AI上で画像を生成することも可能です。
特にExtendを繰り返すと表示上の歌詞がハチャメチャになりがちなので、気になるのであれば修正すると良いでしょう。
曲の前後をカットする
Cropをクリックすると任意で選択した範囲で曲を切り出すことが出来ます(Pro Plan以上限定)
音楽を生成していると「曲は良いのに前奏が長すぎる…」や「アウトロ終わったのにまだ歌ってるよ…?」などが割とそれなりの頻度で発生しますが、このCrop機能を使えばそのあたりの悩みは全て解消されます。
曲の一部を再生成する
Replace Sectionをクリックすると任意で選択した範囲の歌詞を編集し再生成することが出来ます(Pro Plan以上限定)
選択できる範囲は10〜30秒までとなっており、選択した範囲に該当する歌詞を自由に書き換えることが出来ます。
「Recreate Section」をクリックすると元のメロディや歌い方を踏襲したパターンの音楽が2種類生成され、いずれかを「Select」で選ぶと該当のパターンで差し替えた音楽(Full Song)が再生成されます。
また、 生成する前に「Make same length as selection」を有効にすると選択範囲に準じた秒数に収まるように再生成が実行される…ようですが、選択範囲が10秒ギリギリだったりすると正常に機能しないようです。
音楽をプレイリストに登録する
Add to Playlistをクリックすることで対象の曲を任意のプレイリストに登録することができます。
プレイリストの用途は自分が生成した曲の管理がメインですが、プレイリスト自体を公開(Public)して自分のプロフィールに表示させることも可能です。
ダウンロード時の動画を再生成する
Regenerate VideoをクリックすることでVideo形式でダウンロードする際の動画を作り直すことができます。
曲そのものに影響を及ぼすものではありませんが、曲のタイトルやカバー画像、表示上の歌詞を変更したあとはRegenerate Videoを実行しないとVideoに反映されない点には注意が必要です。
曲を公開する
Publicを有効化することでSuno AI上における曲の公開範囲をプライベート(自分のみ)からパブリック(利用者全体)へ変更することが出来ます。
Publicが有効となっている場合、Home画面上のNewやTrendingに掲載される可能性があるほか、自身のプロフィールに対象の曲がリストアップされます。
プロフィールを編集・確認する
アカウントアイコンをクリックして表示されるメニュー上のEdit ProfileやView Profileからプロフィールの編集・確認が可能です。
プロフィールのアクセスURLとなる「Handle」に利用できる文字列は他のユーザーと重複できないので、好きな文字をURLとしたいのであれば早めに設定した方が良いかもしれません。
参考までに、私(@genaisum)のプロフィールは以下のとおりです。
Tips(知っておくと得するかもしれない情報)
Extendのコツ
個人的な体感ですが、Extendされた音楽の曲調はExtend前にサンプリングされた長さが長いほど、元の曲に沿った内容となるようです。
仮に元の曲が180秒の尺だったとして、180秒目からExtendすれば元の曲をほぼ踏襲した結果が得られるのに対し、10秒目からExtendするとサンプリングされた時間が短すぎて結果として元の曲とは全く異なる曲が生成されるという考え方です。
これは複数回Extendする場合にも当てはまるようで、例えば元の曲をExtendして作ったPart2に対してExtendをした場合、元の曲ではなくPart2の内容をサンプリングして曲が生成される傾向にあるようです。
対応としてはPart3、Part4…とExtendを繰り返すのではなく、都度Get Whole Songを実行して曲を結合すると良い、ということですな。
まぁ最終的にはクレジットを積んでトライアル&エラーを繰り返す、という点は変わらないのですが。
Trendに乗るために必要なこと
自分が生成した曲がTrendに掲載されるためには、生成した曲を公開してから一定期間の間に一定数以上の注目を浴びる必要があります。
注目を浴びるというのはつまり、同時期に生成・公開された他の動画と、再生数といいねボタン(👍)をクリックされた数で競う、ということになります。
フォロワーが大勢いるユーザーであれば簡単に達成できそうですが、そうでなければまずNewに掲載される必要があります……が、Public設定をしたからといって必ずしもNewに掲載されるわけではなく、多少の運要素が絡んでくる点には留意が必要です。
自分で複数のアカウントを用意して人気のある曲に見せかけることでもTrendに乗ることは可能ですが、複数アカウントの利用は規約違反なのでやるとしても自己責任でお願いします。
バージョンについて
バージョンに関しては特段の拘りがない限りは最新版を選択すると良いでしょう。曲の長さや音質などが旧バージョンよりも優れています。
2024年9月時点における各バージョンの違いは以下の通りです。
比較対象/バージョン | V2 | V3 | V3.5 |
---|---|---|---|
初回生成時の尺 | 最大80秒 | 最大120秒 | 最大240秒 |
Extend時の尺 | 最大60秒 | 最大60秒 | 最大120秒 |
Extendを含めた1曲の尺 | 約180秒 | 約180秒 | 約240秒以上 |
音質 | 普通 | 良い | 良い |
特徴 | ・イントロ、アウトロが生成されないことが多い ・メタタグはある程度反映される |
・イントロ、アウトロが生成されることが多い ・一部メタタグが機能しない ・ハルシネーション(幻聴)が多い |
・完成された曲が生成されることが多い ・メタタグはある程度反映される |
メタタグについて
歌詞を自分で創作できるのがカスタムモードの最大の特徴ですが、そこで入力可能なメタタグとして以下のようなものがあります。
メタタグ | 意味 |
---|---|
[Intro] | イントロ、曲の導入 |
[Verse] | Aメロ |
[Interlude] | 間奏 |
[Bridge] | B(C)メロ |
[Pre-Chorus] | サビ前の盛り上がる部分 |
[Chorus] | サビ、曲のメイン |
[Outro] | アウトロ、余韻 |
[End] | 曲の終わり、インスト、フェードアウト |
上記は一例であり実際はより多くの種類があります…が、公式サイト上でリスト化されているようなことはないので、自分で曲を生成しながら色々と試してみると良いでしょう。
スタイルについて
カスタムモードでは曲のスタイル(Style of Music)を自由に入力することが出来ますが、実は入力にはちょっとしたコツがあったりします。例えば以下のような。
- 2語以上の言葉はハイフンで繋ぐと反映されやすい(fast-pacedやhappy-hardcoreなど)
- アカペラを表現したいときは「Acappella」ではなく「a cappella」とする
- 強調したいときは連続して同じ単語を入力する(metal, metalなど)
上記はいずれもモデレーターの方の発言から拝借させていただきました。勉強になりますね。
使用した感想
音楽の知識が無くてもなんとなくそれっぽい曲が作れるのは面白いですね。
まぁ理想の曲を本気で作ろうと思うと無料枠の50クレジット/日では何日掛かるかわからないので、ハマればいずれはサブスクリプション登録に行き着くのだろうとは思いました。